北海道の不登校支援・教育・福祉の分野で活躍している友人(勝手に友人と言わせていただくとして)の野村俊幸さんが本を書かれた。さっそく送っていただいて読んだ。タイトルは「わが子が不登校で教えてくれたこと」。若草色の爽やかな表紙と可愛いイラストがほのぼのした印象だ(イラストはお嬢さん)。
(表紙=大きな芋の葉っぱを傘にして雨をよけている少女。葉っぱの上にはカタツムリ。不登校は雨宿りと同じかも。裏表紙=雨上がりの虹を、カエルが見ている。)
タイトルの通り、野村さんご自身がお子さんの不登校を通して体験されたことと、そこから得られたことを、ご自身の率直な気持ちも含めて、真正面から真摯に受けとめ書かれている。不登校から「学んだ」ではなく、「教えてくれた」というところに、野村さんの謙虚で感性の細やかなお人柄が表れているように思う。加えて不登校支援の現場からのアドバイスも、親と教師それぞれの立場に対して、子どもの成長を支援する視点で盛り込まれている。
私自身も子どもの不登校に直面してずいぶん悩みもし、それによって多くのことを教わり、また自分自身がさまざまな社会的活動に関わるキッカケをも与えられた。しかし、野村さんの率直な体験報告とそれについての分析や、導き出される洞察の深さに接して、さらに気づかされることもたくさんあった。
不登校は親子共々つらい体験ではあるけれど、見方を変えれば貴重な家族の歴史の一部ともいえる。そのプロセスを通して親も子も、より理解し合える関係になることができることを、この本は雄弁に語っている。
筆者自身の体験から始まって単なる体験に終わらず、子どもへの関わり方、学校の先生への関わり方、逆に先生から保護者や子どもへの関わり方などまで、懇切丁寧に書かれている。さらに、今日の子どもを巡るさまざまな課題への向き合い方、姿勢についても示唆されている点が希望が見えていい。
親が困ったときに発しそうな質問が、そのまま項目になってズラリ並んでいる。きっと困ったときの親の強い見方になることだろう。当時こんな本があったらと思う。
今だったら私はどんな対処の仕方をするだろうか。学校に行けなくてうずくまる子どもの側に腰を下ろし、「アイスでも食べようか?」と笑顔で声を掛ける近所のオバサンになれそうな気がする。そういうちょっとホッとした会話のできる第三者の存在が、不登校に限らず、今子育てには必須になっているのではないだろうか。
野村さんの本は、そうした子育ての第三者=近所の優しい(しかも専門的な知識を身につけた)オジサン・オバサンのような本だ。子育て、教育に携わる人に時々思い出して読んでほしい。そんな雰囲気の本だ。
印象に残った箇所が幾つもあるが、その中の一つを紹介する。
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「『ゴロゴロ』してばかりでいいのかという不安」の項。
「学校に行かないこと」をしている不登校の子どもは、ものすごいエネルギーを使っていることを、まず分かってほしい。
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不登校の子どもが家でゴロゴロして何もしていないように見えても、子どもはただゴロゴロしているのではなく、「学校に行かないこと」をしているのだという見方。まさに目から鱗とはこのことだ。当時を振り返った娘さんが口にされた言葉だという。
この本を時々取り出して読み返すことで、子ども達と良い関係を築く道筋が見つかりそう。そんな勇気と希望が持てる本だ。
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