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再び、モヤモヤ

先日「4日間のモヤモヤ」のタイトルで、東京新聞のコラム「言いたい放談」
草野厚氏がNHK女性国際戦犯法廷の番組改変について書いた内容に、
納得いかないことを書いた。

今日の同じコラムで、氏は書いている。「『当時は合法的だった慰安婦問
題』と書いたことが、一部読者の怒りを招いたようだ。」
と書いた上で、前回の自説の正しかったことをさらに補い、冷静に異論を
認めた上での議論を、と書いている。
感情的になった読者が氏に品のない批判を浴びせたということのようだ。

「品のない批判は」良くないとしても、反論した読者の気持ちはよくわかる。

実際、今日のコラムでの草野氏の書き方にはさまざまなレトリックが仕掛
けられているように思う。その巧妙さには不快な思いがする。たとえば、…

「この問題では第一人者の秦氏」と言う言い方。…従軍慰安婦問題の
「第一人者」、とはどういう人を言うのか。まず被害者という当事者と加害
者という当事者、それ以外の第三者としての立場がある。そのうちの第三
者の中の総合的な知識と判断を持った人を第一人者というのなら、判断の
分かれている場合、被害・加害の双方に第一人者がいても良いはず。秦氏
のみをこの件での第一人者と表現することは公平を装った自説の押しつけ
と変わらない。

そして、秦氏の論をそのまま採用して「国内に存在した公娼制度の戦地へ
の適用だから(合法的)」とさらりと書いているが、これもさまざまな議論が
あるが、それについては全く触れないで秦氏の論に任せている。

国家による慰安婦の強制的・組織的な連行があったかどうかも議論が
分かれているが、草野氏は秦氏の書に証拠を積み重ねた反論があり、
「あった」とする吉見義明「従軍慰安婦」には説得力を感じなかったとい
う。

ふ~しぎい~!
今どき、それこそ誰でもちょっとその気になれば、いろいろな情報を読む
ことができる。まして従軍慰安婦の問題は国会でも(ようやくだが)取り
上げられ審議された。当然、資料もある。読もうと思えばいつでも読め
る。そこには生の声がある。でもそれは聞こうとしない人には、絶対に
聞こえない声だし、読もうとしなければ絶対に目に入らない文字だろう。

氏は書いている。「自説に心地よい意見だけしか聞きたくないというの
は、異論を認めない一部『宗教』の類であり、冷静な議論は望むべくも
ない。」私には草野氏も同じ間違いを犯しているように思える。

国家による犯罪は、市民が被害者であり、被害者は被害を受けたことを
ダメージを払いのけて立ち上がることでしか訴えていくことができない。
セクシャルハラスメントの被害を訴えることがどれほど大変なことかを思
えば、軽々に証拠の不十分、説得性がないなどと言えるはずもない。

いっぽう国は自分の加害性を当然隠そうとする。証拠も消すだろう、隠す
だろう。
加害者と被害者との間に圧倒的な力の差があるとき、公平に被害を検
証しようとするならば、両者を同じ土俵で論じるのではなく、声を上げら
れない者、声を上げにくい者に寄り添う姿勢があって初めて、公平に検
証することができると言えるのではないだろうか。

一見、冷静で公平な論調に潜む問題の隠蔽を警戒しないと、問題がな
かったかのように片づけられてしまう怖さを感じる。

私は国会の委員会で、実際にインドネシアに足を運び、被害女性の声
を聞いた田嶋陽子(元参議院議員)さんの報告を聞いたり、女性議員の
質問、当事者の声(議員による代読)も聞いた。

また別の日の委員会では、韓国で入手した詳細な人数を記した資料も
提出された。(韓国・朝鮮の地図に場所の名称とそれぞれの場所で集め
られた女性の人数が記入されていた。)

草野氏が採用する秦氏の言う「公娼制度の戦地への適用」が、実際はだ
ましたり、拉致したりの結果であったことは多くの証言として語られている。
中には母親と市場へ買い物に行った時に母娘共々拉致された12,3歳の
娘さんもを含まれているという。

声を上げてさえつぶされそうになっている被害者達の無念の思いは、同じ
女性としてとても見過ごしにできない。つい長々と書いてしまった。
せめて私は被害女性達の声を心に留めておきたい。
コラムを読んで改めてそう思った。

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