« タロットカード | トップページ | うっかり »

「嘘つきアーニャの…」

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」(米原万里著・角川文庫)
をやっと読み終わりました。
ずいぶん前に友人が「面白いわよ」と言って貸してくれたものです。

最近は資料としては読んでも、まとまって本を読むことがめっきり少な
くなってしまいました。これも寝るまでのひととき、布団に潜り込んで
少しずつ読んで、やっと、という感じでした。
でも、「早く返さなくちゃ」と思うと読むものですね。
読みやすく、かつ面白かったです。友人のSさんに感謝!

内容はロシア語通訳として活躍、エッセイストとしても評価の高い米原
さんの東欧で過ごした少女時代と、その後の3人の友人との交友が東
欧の歴史とともに語られています。
 「20世紀後半の激動の東ヨーロッパ史を個人の視点であざやかに切
りとった歴史の証言の書」(解説・斎藤美奈子)まさにこの言葉どおりで、
読みやすいけれど、中身は濃く読み応えがあります。

 私が新鮮に思ったのは、個性豊かな「マリ(万里)」の友人達が、その
ユニークな個性をそのまま周囲に認められていることです。ともすると私
は社会主義の国というと管理された画一的なイメージで見てしまいがち
でしたが、当たり前のことなのですが、子ども達はどこも同じように個性
豊かでヤンチャで可愛いと思うとともに、むしろ日本よりも懐の深さの感
じられる部分も随所に感じました。太っ腹で温かい庶民の空気が伝わっ
てくるのは著者の交友関係の豊かさゆえでもあるだろうけれど。

 この本に出てくる少女達は、日本でポーッと育った私など及びもつかな
いような歴史と社会体制の矛盾を背負って毎日学校に通い、生活している。
いやおうなしに少女達は自分たちの民族や国家や政治体制について考え、
友人たちと語らざるを得ない毎日を過ごす。さらには社会主義体制の崩壊
につれ、否応なしに社会の変革に巻き込まれていく。そうした中で、子ども
であれ、自分たちの現状と過去の歴史について正面から向かい合ってい
る姿勢は、日本の今の状況と引き比べ考えてしまった。 
 
 ベオグラードに住むヤスミンカ(マリの女友達)の言葉が胸をつく。
ヤスミンカは戦争になって以来、家具も食器も、コップ一つ買っていない
と言う。
「店で素敵なのを見つけて、買おうかなと一瞬だけ思う。でも、次の瞬間は、
こんなもの買っても壊されたときに失う悲しみが増えるだけだっていう思
いが被さってきて買いたい気持ちは雲散霧消してしまうの。それよりも、
明日にも一家皆殺しになってしまうかもしれないって」
コップ一つ選ぶ楽しみも奪う戦争。
それはたかがコップではないし、希望を奪うことに他ならないと思う。

 これから読む人のお楽しみに、一番面白かったところ(感動とは別に、爆
笑!)は書けませんが、思い出すと今でも、笑えます。
お薦めです!
 

« タロットカード | トップページ | うっかり »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73432/3132412

この記事へのトラックバック一覧です: 「嘘つきアーニャの…」:

» 米原万里 [PukiWiki/TrackBack 0.1]
Counter: 3967, today: 20, yesterday: 22 米原万里 † 名前:米原(よねはら)万里(まり) 【blo... [続きを読む]

« タロットカード | トップページ | うっかり »

2014年6月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30